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コラム

弱酸性という言葉のマジック

 「人の肌が弱酸性だから弱酸性の洗浄剤が肌にやさしい」というフレーズ。これは言葉のマジックです。

  思わず「ふーん、弱酸性なら大丈夫なんだ」と信じてしまう人も少なくないのですが、残念ながら弱酸性と名の付くものは、植物性であろうが天然成分100%であろうが、全ての商品が合成界面活性剤(合成洗剤、合成洗顔料)です。これさえ知っていれば騙されることはありません。

 しかし、このフレーズの弱酸性という言葉は、いかにも皮膚科学に裏打ちされたかのように勘違いさせられますが、ニセ科学を思わせる極めて巧みな(言葉は悪いですが)味噌クソ理論です。

 ニセ科学といえば、かつてのマイナスイオン空気清浄機など、猫も杓子もマイナスイオンが付いていれば売れた時代がありました。企業からの献金につられた一部の大学教授や医学博士までがマイナスイオンの健康効果を賞賛し、大手家電メーカーでさえも便乗したマイナスイオンの健康効果を謳う商品を販売していました。しかし、健康効果の科学的根拠がないニセ科学であることが発覚した為、2006年以降は売り場から一斉に姿を消しました。

 さらに近頃では、コラーゲン神話です。コラーゲンを食べればお肌がプルプルになると一部の人に信じられていますが、食べたコラーゲンがそのまま肌のコラーゲンになるわけではなく、普通のたんぱく質と同じように、消化されてアミノ酸に分解されます。しかし、肌が実際にプルプルになったと感じる人はプラセボ効果による単なる気のせいだと分子生物学の専門家の間では常識とされています。今のところコラーゲンを食べて美肌効果があるという科学的根拠やデータはないようです。ただ、最新の研究ではマウスの皮膚細胞で調べたところ、コラーゲンが再びコラーゲンになるのではなく傷を修復する皮膚の繊維芽細胞を傷の部分に呼び寄せ助けることが発表されていますが、未だニセ科学の域を脱する決定的なエビデンスはなく、残念ながらやはりコラーゲンに美肌効果があるということではなさそうです。 巷ではコラーゲン商品が氾濫していますが、マイナスイオン製品の二の舞にならないことを願います。

 話は戻りますが、オーガニックシャンプーでも弱酸性であれば合成界面活性剤です。単に原料がオーガニックであるだけで、植物を化学変換して合成界面活性剤となった時点でそのメリットはありません。たとえば無農薬の茶葉を使用して手作り石鹸をつくっても中国産の粗悪な石鹸素地を使っていれば無農薬の意味がないのと同じです。今や儲かりワードになっている「弱酸性」ですが、有難がって買う人がいるので、それに便乗する企業が後を絶たないのです。

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